茶碗は生まれた土地によって、大きく三つの系譜に分けられます。中国から渡来した唐物(からもの)、朝鮮半島から渡った高麗物(こうらいもの)、そして日本で焼かれた和物(わもの)。格式は唐物を頂点としつつ、侘び茶の広がりとともに高麗物・和物の飾らない美しさが愛されるようになりました。
覚えておきたい言葉が「一楽二萩三唐津」。茶人が和物茶碗の好みを語った言い回しで、楽・萩・唐津が三大茶陶とされています。
RAKU — 京都
轆轤を使わず手捏ねで成形し、内窯で一碗ずつ焼く。利休の侘びに応えて長次郎が創始。黒楽・赤楽があり、軽く手になじみ、茶が点てやすい。
初めての一碗にも稽古用の写しが豊富。
HAGI — 山口
柔らかな土と枇杷色の釉。使うほど茶が染みて表情が変わる「萩の七化け」が身上。貫入(細かなひび)は景色のうち。
中古は貫入への茶染みの進み具合を確認。
KARATSU — 佐賀
砂気のある土の力強さと素朴な絵付け。絵唐津・斑唐津・朝鮮唐津など種類が多彩で、飽きのこない実用の美。
日常の一服に使いやすい丈夫さが魅力。
SHINO — 美濃
長石釉の白にほんのり緋色が差す、日本初の白い焼き物。鼠志野・紅志野も。国宝「卯花墻」で知られる。
ぽってりした厚みで冬の一碗に向く。
ORIBE — 美濃
古田織部好みの、緑釉と大胆な歪み・文様。「ひょうげもの」と呼ばれた自由な造形が身上。
形の歪みは個性。手取りの収まりで選ぶ。
TENMOKU — 唐物
鉄釉の深い黒に星や油滴が浮かぶ唐物の最高峰。曜変天目は世界に三碗のみ、すべて日本にあり国宝。
写し(再現作)が多く流通。台付きは格別の扱い。
IDO — 高麗物
朝鮮の日用雑器を茶人が見立てた大ぶりの碗。枇杷色の肌と高台の梅花皮(かいらぎ)が見どころ。国宝「喜左衛門井戸」が名高い。
梅花皮の縮れ具合が評価の的。
KYOYAKI — 京都
仁清・乾山に始まる雅な色絵。四季の意匠を纏い、席に華を添える。現代作家の裾野も広い。
絵柄の季節を席の時期に合わせて。
| 平茶碗(ひら) | 浅く口が開いた夏の碗。湯が早く冷め、見た目にも涼しい。 |
|---|---|
| 筒茶碗(つつ) | 深い円筒形の冬の碗。湯が冷めにくく、両手に温かい。 |
| 碗形(わんなり) | 最も標準的な形。季節を問わず使える基本の一碗。 |
| 半筒(はんづつ) | 碗形と筒の中間。春や秋の肌寒い時期に。 |
| 天目形(てんもくなり) | すり鉢状に開く唐物由来の形。格の高い点前に用いる。 |
| 沓形(くつがた) | 楕円に歪ませた織部好みの形。動きのある景色が楽しい。 |
迷ったら、まず碗形をひとつ。季節の平茶碗・筒茶碗は二碗目以降で揃えると失敗がありません。茶碗の基本ページには部位の名称と中古選びのポイントをまとめています。