茶入は濃茶の抹茶を納める小さな壺で、茶道具のなかでも最も格の高い品のひとつです。出自によって唐物(からもの)・島物(しまもの)・和物(わもの)に分かれ、この順で格が定められています。
| 唐物 | 中国製。「一国に値する」と言われた名物中の名物。肩衝・茄子・文琳などの形が伝わる。 |
|---|---|
| 島物 | 呂宋(ルソン)・安南(ベトナム)など東南アジア製。唐物と和物の中間の格とされる。 |
| 和物 | 瀬戸を筆頭に国内で焼かれたもの。備前・信楽・高取・膳所・丹波など各地に広がる。 |
KATATSUKI — 肩が張る
肩が水平に角張って張り出した形。もっとも格が高く、伝世品の数も多い。「初花」「楢柴」「新田」は天下三肩衝と称されます。
迷ったらまず肩衝。姿が決まりやすい。
NASU — 丸くふくらむ
茄子の実のように丸くふくらんだ小振りな形。「九十九髪茄子(つくもがみなす)」が名高く、信長・秀吉の手を経ています。
小振りで愛らしく、女性の手にも収まりよい。
BUNRIN — 林檎の意
「文琳」は林檎のこと。丸みのある柔らかな姿で、茄子よりやや大きめ。可憐な印象の形です。
茄子との違いは口造りと胴の張り方。
TAIKAI — 平たく口が広い
口が広く平たい形。ゆったりとした姿で、薄茶器として用いられることもあります。内海(うちうみ)はその小振り版。
口が広い分、茶をすくいやすい。
TSURUKUBI — 首が細い
鶴の首のように、口元がすっと細長く伸びた形。すらりとした立ち姿が身上です。
細い口は仕覆の抜き差しに慣れが要る。
HYŌTAN & SHIRIBUKURA
瓢箪はくびれのある形、尻膨(しりぶくら)は下部が大きく張った形。どちらも動きのある姿で、席に変化を与えます。
個性的な形は、席の主題に合わせて選ぶ。
茶入は仕覆(しふく)という袋に納めて扱います。金襴・緞子・間道といった名物裂(めいぶつぎれ)が用いられ、格の高い茶入には複数の仕覆が添うこともあります。付属が揃うほど評価は上がります。
| 仕覆(しふく) | 茶入を納める裂の袋。裂の名と時代が価値を左右する。 |
|---|---|
| 牙蓋(げぶた) | 象牙の蓋。裏に金箔を張るのが約束。合いの良さが大切。 |
| 挽家(ひきや) | 茶入を納める木製の容れ物。さらに内箱・外箱と続く。 |
| 箱書・極め | 家元や鑑定家の書付。真贋と評価の拠りどころになる。 |
いちばんの違いは用途と格です。茶入は濃茶用の陶器、棗は薄茶用の漆器。茶入のほうが格上とされ、仕覆を脱がせる所作や拝見の作法も改まったものになります。
はじめての一つなら、扱いのやさしい棗から。濃茶に進むときに茶入を迎えるのが自然な順序です。棗については棗の種類のページをどうぞ。
| 牙蓋の有無と合い | 蓋を失った品も多い。すっと収まるか、隙間がないかを確認。 |
|---|---|
| 釉の景色 | 肩から流れる釉の「なだれ」が見どころ。写真では拡大して確かめる。 |
| 仕覆の状態 | 裂の傷み・擦れ、緒(ひも)の欠損。裂の名が分かるかも確認を。 |
| 箱と伝来 | 挽家・内箱・外箱、書付の有無。揃っているほど価値が上がる。 |
茶入の基本は道具一覧のページでも紹介しています。